2020.07.20

266号 虫に刺された

外遊びが多くなる季節になり、蚊に刺される機会も増えてきます。蚊は、人間の出す二酸化炭素や汗の臭い、体温を感じ取って寄ってきます。子どもは新陳代謝が活発で汗っかき、体温が高いこともあり、蚊が感知しやすいため、大人よりも蚊に刺されやすくなります。また、小さな子どもは、蚊が近づいて来ても自分で防衛できないので、一気に複数個所刺されたりしますよね。ところで、血を吸うのは蚊のメスのみで、産卵に必要な栄養を取るためです。基本、蚊の主食は花の蜜や樹液ですから、蚊は卵を産むために、かなり命がけで人間の血を吸っているということです。

◆蚊を予防しよう!  蚊は黒色のものを好むため、黒っぽい服は避ける、汗をかいたらこまめに拭く、などがありますが、確実なのは、肌の露出を避けること。蚊が多くいそうな屋外で長時間過ごすときには、長袖・長ズボンにしましょう。衣服で覆えない部分には、虫除け剤を利用するという方法もあります。しかし、スプレータイプのものは注意が必要です。多くの虫よけスプレーには、「ディート」という殺虫成分が含まれています。ディートは、虫除け効果は確かなのですが、誤った使い方をすると、まれに体への影響があるとされているたっめ、赤ちゃんや子どもは使用制限があります。スプレー以外にも、クリームタイプ、洋服に貼るシールタイプ、腕に付けるリングタイプなど様々ですが、使用前には必ず用法を確認し、状況に合わせて使用しましょう。ちなみに、肌に直接塗る系の日焼け止めと虫除けを同時に使いたい場合は、日焼け止めが先、虫除けが正解です。虫除けは一番外側になければ効果が発揮できません。

◆蚊に刺されたら  蚊に刺されて腫れやかゆみが出るのは、蚊の唾液に含まれる成分がアレルギーを起こすから。この反応の現れ方は成長とともに変化していきます。大人は刺されてすぐに腫れ、かゆみが起きますが、蚊に刺された経験のない乳幼児は、虫刺されに対して免疫がないため、1~2日経ってから反応が現れ、大人より症状がひどくなりやすく、長引く傾向があります。 子どもはかゆみが強いと、傷口をかきこわしてしまいます。傷口に黄色ブドウ球菌などつくと、とびひになる可能性があります。かゆみを抑える応急処置は、刺された個所を冷やすことです。患部を冷やすと毛細血管が落ち着き、かゆみもおさまります。刺された箇所に爪でバツ印をつけるというのは、おすすめしません。かゆくても傷つけないようにすることが大切です。

◆薬について  蚊に刺されても、症状が軽ければ、市販薬で様子をみても構いません。しかし、子どもに使用する場合は必ず用法を確認して下さい。またシールタイプのかゆみ止めは、患部を触らないようにするには効果的ですが、長時間貼るとかぶれたり、子どもが自分ではがして誤飲する事故もあるので、使う時には注意しましょう。

◆こんな場合は病院を受診  虫刺されで病院を受診するのは大げさかも、と思うかもしれません。しかし、蚊に刺されたと思っていても実際は違う虫だったり、蚊アレルギー(蚊刺過敏症)やとびひになってしまった、ということもあります。経過をよく観察し、38度以上の熱が出る、リンパは腫れる、刺された部位に潰瘍が見られる、または、かゆみや腫れの症状が重かったり、長引いたりと気になる場合は病院を受診しましょう。激しい腫れやかゆみ、発熱や頭痛、動悸やしびれ、呼吸困難などはすぐに病院を受診して下さい。
 蚊に刺されることで怖いのは、感染症にかかることです。蚊が媒介する感染症には日本脳炎があります。日本脳炎は死亡率が高く後遺症を残すことも多いため、推奨される時期になったら早めに日本脳炎ワクチンを接種しましょう。